夜がまた巡る
草を抱きしめ 飲み込んだ
静けさの奥で 蠢きはじけ
目に見えない回路がまわる
僕の中で夜がはじまる
最初に開く ルーメンの扉
ざわざわと微生物が草をほどく
網目模様のレティキュラム
草が巡る 循環の道
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
声に出せば 呪文になる
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
反芻のリズムで 夜がまた巡る
溜息のように 返す吐息
同じ道を また辿っていく
ただの器じゃない この身体
誰も知らない 小さな宇宙
オマズムで 欠片ふるいわけ
ヒダの隙間 命の雫が 染みてゆく
最後に落ちる アボマズム
本当の胃が目を覚ます
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
名前は夜に溶けていく
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
反芻のリズムで 夜がまた巡る
進化が残した神秘のリフレイン
僕はただ それを抱きしめるだけ
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
声に出せば 呪文になる
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
反芻のリズムで 夜がまた巡る
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
名前は夜に溶けていく
ルーメン レティキュラム オマズム アボマズム
反芻のリズムで 夜がまた巡る
ミニ解説
ヤギには4つの胃があることは、牛に比べると知られていません。そもそもウシ科だということすら知られていません。
ヤギのことをもっと知ってもらうために、それぞれの胃の名称と役割を簡単に説明した歌です。
- 第1胃:ルーメン
胃の中に住んでいる微生物が、草の繊維を分解・発酵させます。この微生物はビタミンB群も合成します。 - 第2胃:レティキュラム
六角形の網目状になっていて、食べたものをさらに細かく砕きます。第1胃から第3胃へと草が行き来します。 - 第3胃:オマズム
第2胃から来たものを選別し小さいものは第4胃へと送ります。ヒダ状になっており、水分や栄養を吸収します。 - 第4胃:アボマズム
胃液によってタンパク質を分解します。人間の胃と同じ役割です。
※現在も研究が進められている分野であり、各胃室の詳細な機能については諸説あります
身体の中で反芻する→体外には出ないのずっと暗いまま→夜→口や胃を行ったり来たり→夜が巡る という比喩です。
また反芻というキーワードから、繰り返すということで印象的なギターリフ、そしてサビのフレーズをしつこいくらいに繰り返すということも係っています。
結果的にちょっと文化系なナードな感じがありつつ、かっこいい曲にできたので大満足です。