「行動経済学が最強の学問である」という本を読みました。
聞き流していたラジオに著書の相良奈美香さんが出演していたことがきっかけです。
350ページ以上あり、途中で読まなくなるかなと頭によぎったのですが日々生活での「あるある」が沢山載っていて楽しく読めました。
読んでいるときは気になったところに付箋を貼りながら読んでいくのですが、付箋を貼った箇所が全部で30箇所以上になりました。
その中からさらに厳選した気になったところについて書いていきたいと思います。
行動経済学を知ってタイムマネジメントに活かす
「計画の誤謬」と「楽観バイアス」
まず押さえておくべきは「計画の誤謬(Planning Fallacy)」。「あらゆる計画は所要時間や予定を甘く見積もって計画してしまうがために失敗する」という研究で、多くの残念な実例があります。
人間には「楽観バイアス」があるので、計画を立てているときは「たぶん上手くいくだろう」と思い、さら「解釈レベル理論」があるために計画している先のことは抽象的にしか考えられません。(中略)
これを防ぐために私が実際に取り入れているのは、全体にかかる時間を予測するのではなく、計画を細かいタスクに分けて個別に所要時間を予測する手法です。
P.152-153
前職は製造業で、失敗したら素材が壊れてしまうため、1から作り直しになる環境でした。
短納期の仕事や業務が立て込んでいるときなどに、工程を一つずつ確実に終わらせるときには、ざっくりとではなく、綿密なスケジュールを組んでいました。
「今日中に終わらせるぞ―」と漠然と作業をするよりも、「11時までに〇〇をして」「次は11時半までにこの〇〇をして」と細かいチェックポイントを越えていく感覚。
このほうが自分がよく動くことが何となくわかっていました。
漠然とやっていたことですが、「行動経済学の理論として確立されているんだよ」と教えてもらえたような気持ちです。
そして現在の僕は無職です。
仕事をしているときのように、やらなければいけないことが明確にあるわけではありません。「今日中にこれをやろう」と考えていたことを後回しにしても、誰からも注意されません。
仕事のときの自分と日常生活の自分では頭のモードが違うようで、仕事でやっていたことを日常生活に導入するという考えになっていませんでした。
仕事をするときのテクニックである「予定の細分化」を日常生活に導入すればいいことに気が付きました。
仕事のノウハウを日常生活に使うなんて当たり前のことだったのですが、僕にとっては大発見です。
「快楽適応」とタイムマネジメント
人は幸せだと感じることをずっとしていると、段々とその幸福度が一定のラインに戻ってきてしまうのです。人は慣れやすい生き物なのです。
(中略)
しかし、なぜこれがタイムマネジメントに生きるのでしょうか?
それは、快楽適応は実はネガティブな感情にも言えるからです。つまり人が慣れやすいのは、ポジティブな感情だけでなく、ネガティブな感情に対してもということです。
P.154-155
あんなに嬉しかったのにいつのまにか慣れてしまうことが沢山あります。
「快楽適応」というやつです。
快楽適応の原因は、一気にやることで幸福度が急上昇してしまい、当たり前になってしまうことだそうです。
そして快楽適応は「嫌なこと」でも起こるということです。
たしかに面倒くさいと感じていたことでも、はじめてみたらあっけなくて「こんなことなら早く済ましておけばよかった」と思った経験があります。
経験からぼんやりと感じていたことですが、行動経済学の理論として「嫌なことでも快楽適応は起こるんだよ」と教えてもらうと、日常生活でも意識しやすいです。
ネガティブなことも慣れるということが学術的な裏付けがあると理解すると、面倒なことでも「快楽適応するんだからやるかー」という気になります。
メンタルが弱っているときにも行動経済学
「ネガティブ・アフェクト」と上手に付き合う
例えば「不安だな」と気がついたら、「不安だ」と声に出して言うのもいいでしょう。そして「なぜ不安なんだろう? 原因はなんだろう?」と考えます。「来週から始まる責任のあるプロジェクトに自信がないからだ」と原因がわかるだけで落ち着くでしょう。
また、そのことを再評価し、「あのような責任のあるプロジェクトを任されるなんて、期待されている証拠だ。これからも頑張ろう」と、ポジティブなアフェクトに変えることもできます。
P.282
頭のなかのもやもやとした小さな不安や不満のことを「ネガティブ・アフェクト」というそうです。
これまでも不安で眠れなくなることがたくさんありましたし、これ書いている現在も不安ばかりです。それは自分の仕事やお金のことでもありますし、家族のことでもありますし、理由は様々です。
常に不安ばかりです。おそらく人間として生きている以上は仕方のないことだと思います。
「不安なときは書き出すといい。頭のなかが整理されるから」と読んだことがあります。これと同じことでしょう。
しかし紙やペンを用意しなくても「不安だ」と口に出すだけでも大丈夫なようです。
もやもやとしているときは色々な感情が混ざり合っているように思います。「不安だ」と声に出すことによって、「自分は不安だったのか」と自分が認識して、認識したからこそ原因を考えるようになり、「自分は〇〇が原因で不安なんだ」と整理できるということです。
さらにそれをポジティブに言い換えれば、前向きに方向転換させることができます。
不安になりがちだからこそ、すぐに実践して、もやもやする感情をコントロールしていきたいと思いました。
衝動買いをしてしまうのは「コントロール感」の減少が原因
人間は「常に自分で意思決定し、行動している。人生をコントロールしている」と考えており、またそうしたいという強い欲求があります。
(中略)
人が悲しみを感じるのは、自分以外の人や状況にコントロールされている場合が多くあり、「私は何をやってもダメだ」という無力感に襲われ、「手っ取り早く主導権を取り戻したい」という欲求が強まります。
買い物は、自分の意志で選んだものを、自分の力(お金)で自分のものにできる、つまり簡単に「自分でコントロールしている」と感じられる行動です。
P.302-304
前職で大きな仕事を丸投げされたときに、高い時計やカメラを衝動買いしました。
「こんな高い物を自ら意思決定して買うことができる自分」を感じたかったのかもしれません。
値段高いほど自分による意思決定のチカラが強く働くので、時計やカメラに手を出した理由もわかります。
もちろん買ったものは今でもちゃんと使っているので後悔はしていません。無駄な買い物だったと切り捨てるつもりはありませんが、この理屈を知っていることで、今後の衝動買いは多少抑えられるのかなと思いました。
衝動買いをしそうなときにこそ、一度立ち止まって「自分のコントロール感が下がっているからだ」と冷静に対処したいものです。
まとめ:ビジネスだけでなく、日常生活にも行動経済学を
気になった箇所をピックアップしてみると、ビジネス書というより自己啓発本のように読んでいたことがわかりました。
人間の意思決定について知るということは、自分がどのように意思決定をしているかを知ることなので、日常生活に活かせることがたくさんありました。
もちろんブログを運用する上で使えるなと思うところもありました。読むときの自分の状況によって、ビジネス書として読むか自己啓発本として読むかが分かれそうな気がします。
ボリュームのある本なので、すべての理論を覚えることは難しいです。おそらく今後も読み返すことがあると思います。そのたびに自分にとって大切だと思う箇所が変わりそうな気がします。