僕は普段「ワラーチ」というサンダルを履いています。2年前に自分で作ったものです。
ワラーチとは、メキシコのタラウマラ族という先住民たちの履いているものがベースになっています。
本来は廃棄されたタイヤと革紐で作られていて、彼らはそれを履いて日常的に100km以上の距離を走るそうです。
「走れるサンダル」「裸足感覚のサンダル」としてランナーの方々にはとても有名なサンダルですが、僕はランナーではありません。
気になったので作って履いてみて、単純にとても気持ちが良くて快適なので履き続けています。
今回は、2年間ワラーチを履いてみての感想を書いてみます。
「ワラーチってどうなの?」「 別にランニングが趣味じゃないけどワラーチが気になる」といった方々の参考になればと思います。
2年間ワラーチを普段使いしてみて
2年のあいだ、3月下旬から10月中旬くらいまでほぼ毎日履いています。
ワラーチで通勤して、会社に着いてから靴下を履いて靴に履き替えています。
冬の時期はさすがに寒いので履いていませんが、5本指ソックスや足袋ソックスを履いて冬もワラーチを履いている方も多いみたいです。
僕はダウンなどを着てワラーチを履くアンバランスさが気になってしまうので試していません。
さて、まずはワラーチを履いてみて身体にあらわれた変化についてまとめます。
- 履きはじめの足の痛み
- 歩きかたの改善について
- 冷え性が改善された?
- ワラーチと体幹について
ザッと挙げてみただけで、結構身体が変わったんだなと実感しますね。
履きはじめは足が痛くなる?
履きはじめのうちは、ふくらはぎが痛くなったり、翌日の足がだるく感じることがあったと記憶しています。
これはおそらく、ワラーチに身体が慣れていないためだったと思います。
スニーカーばかりを履いていたときのように、かかとから着地する歩き方だと、ワラーチを履いた場合では「パタパタ」「ペタペタ」と音がします。
ワラーチで歩くときは、つま先から着地もしくは足全体で着地をするイメージで歩くとペタペタと音がしなくなります。
その歩き方がそれまでのスニーカーで歩いていたときとは異なる筋肉を使うために、色々な部分が痛くなっただと思われます。
たしか腰も痛くなったような記憶もあります。
歩きかたが改善され、足裏の痛みがなくなる?
ワラーチを履く前は、長距離を歩くと右の足裏に痛みが出ることが多くありました。
足裏の真ん中や土踏まずのあたりがチクチクと針で刺されたような痛みで、調べてみると「足底筋膜炎」の症状に似ています。診断してもらったわけではないので、本当に足底筋膜炎だったかどうかはわかりませんが。
ただ、ワラーチを履くようになってからは長距離を歩いても足裏に痛みが出ることが極端に少なくなりました。
おそらく痛みの出る原因のひとつは着地のしかたにあったのだと思います。
ワラーチを履くことによって歩くときの着地の仕方が変わり、足裏への負担が減ったのではないでしょうか。
冷え性が改善される?
以前は冬場に足先が冷たくて眠れないことがあり、そのため靴下を履いて眠ることがありました。
しかしここ最近は冬場でも靴下を履いて眠ろうとすると暑くて不快になり、靴下を脱いでいました。
すっかり靴下を履かなくても眠れるようになりました。
これといって他に何かをしたわけではないので、ワラーチのおかげなのかもしれません。
ワラーチを履くと体幹が鍛えられる?
「ワラーチを履くと体幹が鍛えられる」ということが書かれている記事を見たことがあります。
しかし、僕の場合はそんなことは感じませんでした。
ただ、これまでのことから考えてみるとあり得ることなのかもしれません。
- ワラーチによって歩きかたを意識するようになる。
- 歩く姿勢が正しくなる。
- 姿勢が良くなることによって、腹筋や背筋が鍛えられる。
こういう流れだったら充分に起こりうるなと思いました。
ワラーチはきもちがいい!
ワラーチを履いた感想としてよく見るのが「きもちがいい」という言葉。
僕はこれらの感想を目にしていて、「簡素なサンダルを履いて気持ちがいいとはどういうことなのだろう」と疑問に思っていました。
それから実際に作ってみて履いてみたときに案の定思ってしまったんです。「これは気持ちがいいぞ!」と。
この気持ちよさは何なのか。できる限り言葉にしてみようと思います。
- ワラーチの圧倒的軽さ
- 鼻緒で痛くならない
- ダイレクトに地面を感じる
なかなか言葉にするのは難しいですが、ひとつずつ見ていきましょう。
ワラーチの圧倒的軽さ
まずワラーチの軽さにあると思います。
ワラーチを履き慣れたあとにビーチサンダルを履くと感じるのが、その重量。「ビーチサンダルってこんなに重たかったんだ!」と痛感しました。
履いていてほとんど重さを感じないので、まさに裸足で歩くのと変わりません。足に重さを感じないだけで、こんなにもストレスフリーなのかと驚きます。
その軽さのおかげで、持ち運びも楽です。
僕はトレッキングなどへ行く際にリュックへ入れておいて、帰り道でワラーチに履き替えることが多いです。
これがサンダルだと思っている以上にかさばります。
鼻緒で痛くならない
サンダルを履いていると鼻緒で足が痛くなることがあります。
鼻緒ズレなどと言われるようで、親指と人差指の間だったり、鼻緒が触れる甲の部分だったり、痛める箇所は人それぞれです。
ビーチサンダルの鼻緒はビニールなどで出来ていることが多く、結構硬い素材です。
ワラーチは鼻緒の素材を自分で選ぶことで出来ます。真田紐やパラシュートコードが多いイメージですが、革紐を使う人がいたり、紐状であればなんでも鼻緒にできるのではないでしょうか。
僕の場合はパラシュートコードを使っていますが、柔らかい素材なので鼻緒ズレで足が痛くなることもありません。
ダイレクトに地面を感じる
多くの場合、自作したワラーチだとソールの厚さが10mm以下だと思われます。
僕が履いているものはソールが7mmのものです。
一般的なサンダルであっても大抵の場合が20mm以上はあるのではないでしょうか。
ワラーチを履くと足裏に伝わってくる感触がとても新鮮です。
アスファルトの上、点字ブロックの上、ちょっとした小石を踏んだとき。土の上や芝生を歩いたときの柔らかさなど、様々な情報が足裏から伝わってきます。
少しだけ自分の感覚が鋭くなるように感じます。まあ、これは僕が単純なだけです。
2年間普段使いしたワラーチについて
汚れやにおいが気になってきたので、酸素系漂白剤に漬け込んで洗ったあとのワラーチです。足の形がうっすらと見えます。
ちなみにパラシュートコードについている黒い玉のようなものはコードストッパーです。
はじめのうちは靴紐と同じように蝶々結びをしていたのですが、もっと楽に脱着したいと思ってつけました。かなり簡単に脱ぎ履きができるので最高です。
2年間ろくに洗っていなかったので、漬け込んだあとの水が茶色く濁っていました。
「こんなに汚れていたのか!」と、まるで呪いが抜け出たような気になって気持ちがいいものです。逆にそれまでどれだけ汚い状態で履いていたんだと少しゾッとしますが。
ソールはかかとや指の付け根の下と指のあたりが左右ともに擦り減っています。
専門家でもなんでもないので、これが正常なのかどうなのかはわかりません。しかし、足の指もしっかり使えているということではないのでしょうか?
ソールからむき出しでパラシュートコードを出していますが、特に補強などはしなくてもいいかと思っています。
過去に1度外出先で切れたことはありますが、切れてもまた結べば応急処置はできます。
何かあったときのためにカバンの中に1足分のパラシュートコードを入れておいてもいいのかなと思いました。
ソールを横から見るとかなり擦り減っていることがわかります。元々が7mmのソールですから、薄いところは元の半分くらい3mmほどでしょうか。
指で押して見ると、裏側から指の形がわかるほど盛り上がりますし、そのまま力を入れると穴をあけてしまいそうです。
ソールの凹凸がなくなっているので、作りたてのころに比べたら随分と滑りやすくなっていると思います。履いている本人としたら、この擦り減った状態が当たり前になってしまっているので、特に感じることはありません。
それでもいつソールに穴があいてもおかしくはないのですね。
追記:それから約2ヶ月後に穴があきまして作り直しました。
なぜランナーでもないのに、ワラーチを履きはじめたのか。
走る民族が履いているワラーチなので、ランニングを趣味をしている人たちの履物のイメージが強いです。
しかし僕はランナーではありません。
ランナーではありませんが、スポーツを趣味にしています。そのスポーツは室内で行うダンスのようなものです。
基本的には室内で裸足になって行うのですが、まれに外で靴を履いて練習をすることがあります。しかし普段裸足でおこなっていることを靴を履いてやると、随分と勝手が違います。
普段できていることができなくなったり、できても完成度が低くなることが多いです。
ソールの薄いローテクな靴や体育館履き、レスリングシューズなど色々と試してみたのですが、どれも惜しい。もちろん普段履きの靴と比べるとかなりいいのですが、惜しいんです。
「もっと裸足に近い感覚の履物はないのかなあ」といろいろと調べて行った結果、ワラーチの存在を知ることになりました。
走るためのサンダルなので、ダンスのような動きに適しているとは言えず、結局そのスポーツをやるには他の履物と同じように惜しい結果でしたが‥‥。
ワラーチづくりについて
そこまで工数は多くないので、やりはじめてしまえば1時間ほどですぐに作れます。
はじめて作ったときも、難しい工程はないので、頭を抱えることはありませんでした。
一番難しいことは「つくりはじめる」ことなのかもしれません。材料は揃えても、今ひとつ気持ちが乗らずに数日寝かしていたような記憶があります。
しかしやはり手作りのほうが圧倒的に安いですし、何より自分が作ったという愛着が湧きます。
一度作るとパラシュートコードが切れたとしても、直し方を知っていますから慌てることもありません。
作り方については検索すればたくさん出てきます。
僕はビブラムソールとパラシュートコードだけのシンプルな作り方のものです。
前述のとおり、2年間履いてどこかに穴が空きそうなので、そろそろ作り直したいと思っています。そのときの僕の作り方として記事にするつもりです。
まとめ:ランニングが趣味じゃなくてもワラーチはおすすめ!
ワラーチの解放感は僕の知る限りでは他の履物では味わうことができません。
軽さ、ソールの薄さ、締め付け無さ、色々な面で本当に裸足の感覚に近いです。
しっかりと歩きかたを意識して歩かなければ足のどこかをすぐに痛めてしまいます。歩きかたを改善し、それによって身体の筋肉も鍛えることが出来ます。
履いて気持ちがよくて、足裏を痛めない歩きかたが身につく。
ランナー以外の人だって履いたほうがいいです、ゼッタイ!
僕はこれからもワラーチを履き続けます。