近ごろは実家に帰る頻度が多くなり、母親が「フリマアプリで売りな」と読み終えた本を渡してくれることが増えました。
移動中のドラクエウォークを辞め、さらに仕事を辞めたことによって、本を読もうかなという気持ちになり、実家から持ち帰った本のなかでピンと来たものは読むようにしています。
小説を楽しむだけでお金について勉強できる
この本はドラマにもなったようで、かなり話題になったようですが全然知りませんでした。
考えてみたら、直木賞も芥川賞も誰が取ったのかすら知りません。いつの間にか本屋さんへ行かなくなっていました。大学生のころはヒマがあれば本屋へ行っていたんですが。
いつの間にか小説は全然読まなくなりました。本には何か身になるものを求めてしまってビジネス書ばかり読むようになっていたのですが、この本は小説のカタチでありながら、読んでいるだけでお金のことが学べる面白い仕掛けの本です。
連作短編で、主人公が新社会人だったり子育て世代だったり、子育てが一段落した熟年夫婦や年金受給者と幅広く、いずれかの主人公に共感できるような全方位型の本です。物語を通して世代ごとのお金の問題を知ることにより、「もっと知識をつけなきゃ」「何かはじめなきゃ」と金融のことを学ぶきっかけになります。
昨今の投資ブームと相まって、そりゃヒットするわと思いました。FP3級を持っているとはいえ金融リテラシーが決して高いとは言えない僕も勉強になりました。
作者が女性で、メインの登場人物はすべて女性です。正直言って作中の男性の描写についてはモヤモヤするところもあります。また登場人物がブログを書いているところがあるのですが、そこはかったるくて斜め読みで読み飛ばしました。
作中ではPV5ケタのヒットしているブログとのことでしたが、「こんなブログ読まれるわけねえだろ」という気持ちになりました。
ただこれは完全に僕の嫉妬です。
8×12は魔法の数字:勝手に努力してしまうシステムづくり
毎月八万ずつ、それにボーナス時に二万ずつ貯めます。そうすると、あら不思議。一年に百万円が貯まっちゃうの!
P.56
10年くらい前、前の前の職場で働いているとき、貯金を全くしていませんでした。
そもそも大した額の給料でもなかったのですが(それでも町工場の1年目よりはもらっていました)、そんなときにふと「今年は100万貯めるか」と思ったことがあります。
結果的に全く貯金ができずに終わりました。
今考えると、目標がざっくりとしていて「100万円を貯めるには月にどれくらい貯金をしたらよいか」ということまでは何も考えなかったことが全然貯められなかった原因だと思います。
そもそも使った分が余ったら貯金に回すという考えだったのもダメでした。
ここのところ感じているのが、目標や予定を細分化することの重要性。嫌いなカタカナのビジネス用語でいう「マイルストーン」をしっかり置くということ。
大きな目標をざっくり立てたあとに「それをするためにはどうしたらよいのか」を決め、さらにそれを細かくしていく。細かくなった目標を少しずつ越えていくだけで、目標地点に届いているというもの。
1日1日の予定をざっくりと決めるよりも1時間ごとに区切って、9時までに掃除と洗濯を終わらせて、10時までに図書館へ行って、と書き出すとそれが頭に残って結構動けるなと感じています。
なるべく寝る前に次の日の予定をノートに書き出すんですが、やはりそういう日のほうが圧倒的に1日を上手く使えます。
あなたたちは今、私の呪い、もとい魔法にかかったの。一度この数字を聞いたら、どうしたって頭に八万って残っちゃう。そして、気がついたら月に八万貯めようって思っちゃうの。今は無理でもできるだけそれに近づこう、近づけようって努力しちゃうのよ!
p.56
実際問題8万円が貯められるかどうかは別の話で、それでも一度その数字を意識して、それに近づこうとしてしまうのは、まさに僕が近ごろやっている予定を細分化するのと同じだなと思いました。
10年くらい前に年に「100万円貯めるには8万円だよ!」と誰かが教えてくれていたら、今ごろいくら貯まっていたのだろうか‥‥なんて思ってしまいますが、過去を考えても仕方がないです。今を考えるしかないのです。エピクテトスも言っています。
3つの柱:会社を続けるための条件
これも大学の先生からの受け売りなんですけど、会社は給料、仕事内容、人間関係、この三つのどれか一つでも良ければ続けられるけど、全部がダメなら精神が壊れるから辞めたほうがいいって。
p.330
「給料・仕事内容・人間関係」有名な仕事の3つの柱です。
随分前にコラムか何かで読んだことですが、完全に忘れていて、この部分を読んだときにハッとしました。
そして「前職の町工場の仕事内容は嫌ではなかったはず」と思いました。それでは辞めるべきではなかったのでは? と。
実際に嫌ではなかったはずだからこそ、世界的トップクラスの品物を僕一人で作り出していたはずです。
しかしよくよく考えてみると、やはり仕事内容も嫌でした。作業内容自体は嫌いではありませんでしたが、社長が取ってくる仕事は嫌いでした。製作可能なスペックを理解していなかったり、制作実績がないのに大口叩いて取ってきてしまう仕事ばかりでした。
一度も作ったことがなかったり、計算してみると実現不可能だったりというものなのに、短納期で仕事を取ってきて、どうにか試行錯誤して乗り越える毎日で、一生懸命作っても評価はされず、やって当たり前という態度の経営陣たち。
給料・仕事内容・人間関係のすべてが悪い職場になっていました。
物語のメインである金融リテラシーとは外れているところですが、「やめてよかった」と改めて思わせてくれただけで、この本を読んだ価値がありました。
まとめ:金融リテラシーを高めて、将来はお金の悩みから解放されたい
結局お金に関する本を読んだところで、収入がないと始まりません。
自分の将来について不安ばかりですが、それでも前職はやめてよかったです。
とりあえず、支出をしっかり把握するところから初めてみようと思います。何年か前まではアプリで支出を記録していたんですが、いつの間にか面倒くさくなってやめてしまいました。
お金に限らず、なんでも自分にできそうなことからコツコツやるしかないです。